4月23日、衆参5補選が投開票され、自民党は4勝1敗で補選前から議席を1増とした。5月の主要7カ国首脳会議(G7)後の衆院解散もささやかれるなか、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」の裏づけとなる財源議論に注目が集まっている。
政府は、「こども未来戦略会議」(議長・岸田首相)で、子育てなどに関する政策やその財源について議論しており、6月末までに結論をまとめる予定だ。
4月24日には、経団連の十倉雅和会長のインタビューを日本経済新聞が報じた。十倉氏は「消費税も当然議論の対象になってくる」と述べ、社会保険料の引き上げ案に対して「賃上げ分をすべて社会保障に回されると賃上げの実感を得られない」と、幅広い層に負担を求めるのが望ましいとの見解を示した。
十倉氏は、こども未来戦略会議の委員でもある。4月7日の初会合では、こう述べていた。
「いまここで財源として社会保険料の負担を増やすことは、現役世代の可処分所得の減少に直結し、せっかくの賃金引き上げの効果に水を差し、好循環の実現に待ったをかけるもので、賛成できません。むしろ、全世代が応能負担で支えるという観点も含め、中長期の視点からさまざまな税財源を組み合わせることが望ましい」
経団連だけでなく、経済同友会の桜田謙悟代表幹事も、4月4日、「どうして消費税の話が出てこないのか。税という形で持続可能性を求めていくべきだ」と指摘。
4月18日には、「国民に消費税を上げない理由を説明しないまま、(社会)保険料の値上げで財源を作ろうとしているのであれば、将来に対して責任を持った政治的判断とは言えない」と述べ、消費税を上げる議論を始めるべきと主張した。