- 「修学旅行がつまらない」と親からクレームが…家庭や学校を蝕む「子どもを不快にさせない」という危険な風潮 「褒めて伸ばす」が「ショックを与えない」という意味に | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
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- 「褒めて伸ばす」という子育てには問題点がある。スクールカウンセラーの藪下遊さんは「子どもが成長するためには適度な不快が必要。『褒めて伸ばす』が行き過ぎて、『やりたくないことはしない』と考える子どもが増えているのではないか」という――。(第2回)
本当に「子どもを不快にさせる」ということが問題なのでしょうか?
「子どもの不快」は反応の仕方の一つに過ぎません。その「不快」がどういったしくみで生じているのかを考えて接することが重要であり、「不快」だから不快にした人が悪いとか、「不快」を除かねばならないというわけではないはずです。子どもが感じる不快をきちんと見分けていくことは、とても大切なことです。
見分ける必要のある不快の一つは「要らない不快」です。体験することに何の意味もない不快であり、例えば、いじめられること、人格を軽んじられること、暴力を受けることなどです。こういうものは、できる限り自分に降りかからないようにすることが大事であり、そういう状況を避けたり、逃げたりすることが大切です。
もう一つは「成長のための不快」です。それを経ることで成長につながるような不快であり、例えば、間違っていることや悪いことを指摘される、自分の限界に気づかされる、他者との意見の違いを経験するなどです。こういう不快については、受けとめ、自分の中で消化していくことが重要になります。
【事例1:修学旅行中に担任に電話する母親】
不登校気味の高校二年生女子の母親。修学旅行中に担任に対して「娘が面白くないとメールしてきた。何とかしてあげてください」と連絡してくる。
修学旅行中は人間関係の交錯が起きやすい(自由時間に誰と回るか、バスで誰が隣か、班の一人が戻ってこない……など)ので楽しいばかりではないのが普通です。ただ、こうした人間関係の交錯が起こることによって子どもたちが成長する機会となるのも事実です。
しかし、この事例の母親は子どもが不快であることをとことん排除しようとして、かなり非常識な行動を取っています。母親が「子どもの不快に過敏に反応する」からこそ、子どもが母親に「面白くない」と連絡したのだと思いますし、これまでも「不快の主張」によって母親を操作して環境を変えてきた可能性も考えねばなりません。