- アフリカの原野でライオンに出くわしたら 対応策を専門家に聞く – CNN.co.jp
- https://www.cnn.co.jp/travel/35217145.html
- アフリカのライオンには人を襲ったり、殺す能力があり、人を食べることすらある。一般的な推計では、年間約250人がライオンに襲われて死亡している。
アフリカの原野で危険を回避するための最善策は、ガイドのアドバイスに従い、安全な距離を取って(動物たちを)観察することだ、とムルティ氏は言う。では安全な距離とはどれほどの距離か。
ムルティ氏によると、車を離れた場合は100メートルだが、多くの公園では、徒歩が許されている特別なサファリでない限り、車外に出るのは違法だという。また見通しの悪い茂みや森林の中を歩くのは、開けた平原を歩くよりもさらに危険性が高いとムルティ氏は指摘する。
また、サファリのために高品質の双眼鏡やカメラのレンズを購入するのも良い。これらがあれば、動物を見るために必要以上に近づかなくて済む。
他に、ライオンを刺激したり、余計なトラブルに巻き込まれないために留意すべき点を以下に列挙する
群れを分断してはいけない:旅行者は決して車でライオンの群れの中に入り、ライオンたちを分散させてはいけないとムルティ氏は言う。群れる習性のあるライオンは、群れが分断されると怒る可能性があるという。
一人で茂みに入ってはいけない:ライオン観察やサファリの冒険では、単独行動、特に経験の浅い人の単独行動は危険だとファン・ケッツ氏は警告する。一人でいると動物に狙われやすい上に、何らかのトラブルが発生した場合はライオンや他の動物の襲撃を回避するために助けが必要になり、さらに自分が襲われた場合も誰かに助けを呼んでもらう必要がある。
車外に出ない:ファン・ケッツ氏によると、多くの野生ライオンはすでに車に慣れており、車のすぐそばを歩くこともあり、触れるくらいの距離まで来ることもあるという。
またファン・ケッツ氏の会社の同僚のスティーブ・コンラディ氏は「大半のライオンは車やテントを(形が変化しない)一つの固体と認識している(中略)よって、車の窓から腕を出して車の輪郭を壊してはいけない」と付け加えた。
狩りのピーク時を避ける:夜明け、夕暮れ、夜には、狩りをしているライオンやライオンの群れに遭遇する可能性が高まる、とムルティ氏は言う。注意は常に払うべきだが、これらの時間帯は獲物を探しているライオンに出くわす可能性が高い。またライオンは夜間の視力が人間よりはるかに良いことも忘れてはいけない。
獲物が移動する時期は特に注意する:東アフリカでウィルドビースト(ヌー)やシマウマなどの大群が移動する光景を眺めているなら、その時期はライオンや他の肉食動物にとって狩りの絶好のチャンスであることを忘れてはならない、とムルティ氏は言う。
交尾中のライオンやライオンの子どもたちにちょっかいを出してはいけない:交尾中の雄ライオンは非常に攻撃的になることがある、と旅行会社ケニア・ジオグラフィックは警告する。ライオンの求愛行動には興味をそそられるかもしれないが、近づきすぎたり、邪魔をしてはいけない。また母ライオンは母グマと同様に保護本能が強いため、母ライオンとその子どもたちの間に入ってはいけない。
自分がその場にいることにより、ライオンの群れが動揺し始めたり、ライオンが驚いた場合に注意すべき危険の前兆として、ファン・ケッツ、コンラディ、ムルティの3氏は、低いうなり声、ライオン側のアイコンタクト、攻撃の準備をしているかのような防御姿勢、真っすぐに立ち、揺れている尾などを挙げた。
ファン・ケッツ氏によると、これらの行動は通常、(ライオンからの)警告信号を意味するという。
「『腹が減った、お前を食べたい』という意味ではなく、『お前は俺の縄張りに入ってきた。ここから出て行くチャンスを与えてやる』というメッセージに近い」(ファン・ケッツ氏)
ここで最も取ってはいけない行動は、ライオンに背を向けて逃げることだとムルティ氏は言う。
サンディエゴ動物園野生生物同盟によると、第一に、ライオンは走る速さが人間よりも速く、短時間なら時速約39~60キロの速さで移動可能だという。よって人が安全な場所に到達する前にライオンが追いつく可能性が高い。
第二に、逃げることにより、ライオンは人が自分を恐れており、獲物ではないかと考える。そして当初は人を試すために襲うふりをしていただけかもしれないが、今度は本当に襲ってくる。
よって、逃げるのではなく、内心は恐怖で震えていても、足を踏ん張り、一歩も引かない姿勢を見せるべきだと専門家らは口を揃える。
ムルティ氏によると、ある村人はライオンに襲われそうになった時、着ていた衣服を振ったという。それにより自分を大きく見せることができる。また腕を振るのも同じ効果が期待できる。
またライオンと対峙(たいじ)している時は、ライオンと目を合わせたまま、安全な場所に達するかライオンが興味を失うまでゆっくり遠ざかるのが良いとムルティ氏はアドバイスする。